割安株投資法

割安成長株を探す方法を研究します。危険度の少ない割安成長株投資で堅実な資産運用を行いましょう。

適正株価算出の問題点 


 企業の資産と将来得るであろう利益の面から、簡単に適正株価の算出法を見てきました。これはあくまで自分が企業価値を判断する際の物差しになるに過ぎず、株式市場がどう判断するかとは別です。従って、自分で出した適正株価より低くても売られることもあるし、高くても買われることだってあります。そもそも、現時点における株価は、集められる情報を個々の投資家が持ち寄って形成するものであり、常に適正であるという考え方もあるのです。これを効率的市場仮説と呼びます。

 もしこの仮説が正しいとするなら、適正株価の算出などは無意味ということになるでしょう。企業分析などに血道をあげるより、日経平均やTOPIXといった指標に連動するETF(上場投資信託)を購入した方が安上がりで成績も良いかもしれません。

 ただ投資の醍醐味はやはり、応援したい企業を見つけて割安と考えられるうちに購入し、議決権等を通じて会社の経営に参画しながら、成長による値上がりを待つことにあります。こういった個別株への投資には、分析は避けて通れないと思います。

 適正株価の算出は、割安度の算出というよりはむしろ、現在の株価が何をどこまで織り込んでいるのかを見極め、種々の要素が織り込まれた株価に対し自分がどのようなプレミアムをつけるのかということに意義があるのかもしれません。

 例えば、算出式で現在の株価が5年後の利益までしか織り込んでない場合、自分は10年を投資期間として考え割安と判断する。現在の株価が成長性を0%と見ているようだが、10%程度の成長性は確保できると見れば、これも割安と評価するといった具合です。

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将来の利益の問題点 2 


 次に、将来得られるであろう利益は、現在の価値とは決して同等ではないという点に注意が必要です。リスクフリーで預けられる預金を考えた場合、預金には利子がついてきます。例えば、現在の100万円はタンス預金であれば将来も100万円のままです。しかし、銀行に年利0・5%で預金すると1年後には100万5千円になっています。2年後には、さらに0・5%の利子がついて複利効果で101万25円となります。

 これを逆からみると、1年後の100万5千円は現在の100万円、2年後の101万25円も現在の100万円に相当することになります。つまり、リスクフリーで運用した場合を考慮に入れて、将来の利益を現在価値に割り引いておく必要があるというわけです。このような考え方に基づき、将来の利益を現在価値に割り引いて算出する方法をディスカウント・キャッシュ・フロー(DCF)と呼びます。

 現在は金利も低く、それ程大きな差にはなりませんが、今後予想される金利上昇に伴い、将来の価値と現在の価値の差が大きくなるであろうことは念頭においた方がいいでしょう。

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将来の利益の問題点 


 基本となる1株純資産の値に問題があったのと同じように、将来の利益の数字にも問題点がないとはいえません。

 キャッシュフローのカテゴリーで書いた通り、利益には未回収の債権等が計上されており、実際の現金収支とは異なります。もっとも、これは会計の期間を区切っているためで、長期間で見た場合には債権等が現金化され、利益として計上した額だけキャッシュを稼ぐはずです。ただ、現在のキャッシュフローに問題がある場合、この前提が崩れる可能性があります。そうなると、キャッシュの観点からみた将来の企業価値に疑義が生じる可能性が出てきます。計上した利益をきちんとキャッシュで回収できる経営かどうかは、きちんと検討しておくべき事柄だと思います。

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適正株価の算出 楽観シナリオ 


 最後に、最も重要でちょっと複雑な楽観シナリオです。最初に現状維持のシナリオで算出した数字に、10年間の成長プレミアムを加えます。まず、今後10年間で予定する平均成長率を決めましょう。将来の予測は難しいですが、各種レポートや過去の実績から、おおよその数字を出しておけばいいでしょう。

 四季報で分かる5年前から、今期予想、来期予想の7年間に至る、1株利益のおおよその伸び率を使うのが1つの手段です。過去は未来を保証するものではありませんし、劇的に経営環境が変わったということもありますので、前期から今期、来期に渡る、将来3年間の平均成長率を求めて使うというのもいいでしょう。

 ここでは、予想成長率が10%であったと仮定します。今期予想1株利益が1000円とすると、来期の1株利益はその1・1倍の1100円となります。その次の期には、1100円の1・1倍の1210円。その次は、1331円。こうして10年間に渡って積み上がっていった利益を1株純資産に加えれば、楽観シナリオにおける適正株価が算出できるというわけです。

 株価 = 1株純資産 + 今期予想1株利益(X) + 1・1X + 1・1(1・1X)……

 例えば、1株純資産が10000円の場合、適正株価は将来利益およそ15937円を加えた25937円となります。現状維持シナリオだと2万円となりますが、10%の成長プレミアムである5937円が上乗せされたというわけです。

 以上は、投資期間を10年とした場合ですが、現状維持シナリオの時と同様に、現時点の株価が割安である場合にも、何年先の利益まで織り込んでいるのかを把握しておきましょう。適正株価は、このようにして算出した楽観シナリオの株価を一応の目安にしておけばいいでしょう。

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適正株価の算出 悲観シナリオ 


 現状維持の次は、成長性が鈍化して、予定していた利益が平均して現在の半分になったという悲観シナリオです。これまでの検討で、成長していくと予定している株を購入しようとしているはずですから、利益が平均で半分というのは、かなり悲観的なシナリオです。この場合の適正な株価は、10年で稼ぎだす利益の半分ですから、以下のようになります。

 株価 = 1株純資産 + 1株純利益 × 10 ÷ 2

 計算上、10年で予定していた利益が、5年分しかなかったということになります。これは投資期間を5年と設定した場合と同額になります。このことから分かるように、投資期間を少なく見積もることと将来利益を少なく見積もることは、計算上同じになります。逆に言えば、当初の投資期間を長めに見積もることで、将来利益を低めに見積もるのと同じ効果を得られるということが言えるでしょう。もちろん、これは企業活動が存続し、一定の利益をあげてくれることが前提ですが。

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